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「わかった」と「できる」は同じ?

スマートフォンで検索すれば、分からないことはすぐに調べられる時代になりました。最近ではAIの活用も広がり、知りたいことへの答えはこれまで以上に手軽に見つかるようになっています。

しかし一方で、「答えを知ること」と「本当に理解すること」は同じなのでしょうか。

算数の学習でも、公式や解き方を覚えて問題を解けるようになったとしても、少し条件が変わると戸惑ってしまう場面があります。本当に理解できているのか、それとも覚えているだけなのか。その違いは、子どもたちの学びを考えるうえでとても大切なポイントです。

今回は、具体物を使った学びがなぜ理解につながるのかについて考えてみたいと思います。

私たちは日常の中で、「わかった」と「できる」を同じように捉えてしまうことがあります。しかし、実際にはこの二つには大きな違いがあると考えています。

教室でも、算数の公式や解き方を覚えて問題集を解くことはできても、少し問題の出し方が変わった途端に手が止まってしまう子どもを目にすることもあるのではないでしょうか。

たとえば、
3+5=8 は答えられる
でも「8になる2つの数を考えてみよう」と言われると悩んでしまう

あるいは、
面積の公式は覚えている
でも図形の形が少し変わるとどの公式を使えばよいかわからなくなる

これは子どもたちが理解をしていないからではなく、むしろ、答えや手順をしっかり覚えているからこそ起こることでもあります。 

応用がきく五感を使った学び

算数の学習では、問題の解き方や公式を覚えることだけでなく、その意味を理解することが大切です。

例えば、先ほどの計算を、ブロックを使って「5と3を合わせると8になる」ことを実際に確認した子どもは、ただ計算結果を覚えるだけでなく、「数を合わせる」という考え方そのものを理解するはずです。その理解があるからこそ、「50と30」「500と300」といった大きな数を学ぶ場面でも、考え方を応用しながら学習を進めることができます。

また、教材の時計の針を動かして、時刻を考えたりする活動も同じです。見て、触れて、動かしながら学んだ経験は単なる知識として残るのではなく、「なぜそうなるのか」を実感を伴って理解することにつながります。

誠文社では、こうした『五感を使った体験』の積み重ねが子どもたちの考える力を育てると信じています。さんすうぼっくすに入っていますおはじきやブロック、時計なども、答えを覚えるためではなく、子どもたち自身が試し、考え、発見するための道具、そして考えるための道具(考具と呼ぶ先生方もいます)として活用していただきたいと考えています。

こうした「体験」の大切さについては、さんすうぼっくす監修者の一人、元青山学院大学教授 坪田耕三先生も、過去に次のような言葉を残されています

「算数の学習は頭の中で考えることが多いものです。しかし、具体的なモノを使って五感を駆使し、数や形の学習をしていかないと、わかったつもりで終わってしまうかもしれません。」

さらに坪田先生は、具体物を使った操作活動には「概念や法則の理解を助ける」「判断や説明の根拠になる」「問題解決の見通しを立てる手立てとなる」など、多くのよさがあると紹介していただきました。

答えがすぐに手に入る時代だからこそ、子どもたちが実際に手を動かしながら考え、自分なりの発見を重ねる経験はますます大切になっていくのではないでしょうか。

大切なのは「どうやって解くか」を覚えることだけでなく、「なぜそうなるのか」を理解することです。そのためには、頭の中で考えるだけでなく、自分の手で動かしながら試したり、確かめたりする経験が欠かせません。

おはじきで遊んだり、バラバラに置いて数を速く数える工夫をしてみる、ブロックを並べたり積み上げたりして数のまとまりや大小を考える、時計の針を手で回して長針と短針の回り方を知る、決まった枚数の色板で色んな形を作ってみる、お金の模型を使って実生活に当てはめてお釣りの計算をしてみる。

こうした活動は今の時代遠回りに見えるかもしれません。しかし実際には、子どもたちが数や形の意味を自分自身で理解するための大切なプロセスなのです。だからこそ私たちは、「答えを覚える」だけではなく、「考える力」を育てるための学びの機会がこれからも必要なのではないかと考えています。

ではまた次回も、さんすうぼっくすの魅力のほか、算数の面白さ、学ぶ楽しさについて発信していきたいと思います。